新たな技術により、ウール生地へのデジタルプリントが可能になり、ウール生地に新たなデザインの可能性と市場が開かれました。
デジタルプリントの利点
デザインの自由度が向上
低環境負荷の染料
水の使用量を削減
余った染料はリサイクル
最低発注数量なし
デジタル・生地プリントとは、インクジェット技術を用いて、下処理された生地の表面に染料をさまざまな濃度で同時に塗布し、複雑なデザインのプリント生地を作り出すもので、その可能性は無限に広がっています。
従来は合成繊維に使われていましたが、テキスタイル業界をリードするイノベーターによってデジタルプリントがウール生地にも応用され、ウールの新しい用途が開かれたのです。
ウール生地へのデジタルプリントの実験と応用を行うために、私たちはThink Positive Prints、COMEFORBREAKFAST、Rattiのイノベーターたちと協働しています。
プロセス
ステップ1
生地の下処理
使用するインクは、最新の水溶性染料です。染料が流れてにじみが生じるのを防ぐため、まずは海藻由来の増粘剤、尿素、塩、pHを調整するクエン酸(レモン汁)の混合物で生地をコーティングします。
ステップ2
プリント
プリンターの「粘着ベルト」でしっかりと固定された生地の上をキャリッジが移動し、髪の毛より細かい染料の粒を、8つのカラーヘッドから生地に吹き付けます。8色のベースカラーが混ざり合い、10億を超えるカラーコンビネーションを生み出します。ウール100%の生地は、酸性染料または反応染料で染色されます。
ステップ3
熱処理
最初の段階では、染料は生地の表面にあります。次いで熱板の上を通し、手で触れる程度まで乾燥させます。
ステップ4
蒸気をあてる
生地を蒸すことで繊維が開き、繊維の中や周りに水の通り道ができるため、染料が生地の表面から繊維の中に入り込み、定着して、色やイメージ、デザインが生地に留まります。
ステップ5
コーティング剤を落とす
次に、役目を終えたコーティング剤を余分な染料(定着しなかったもの)とともに落とします。そうしないと雨で色が流れ出てしまうのです。こうして、素材が持つ手触りや風合いを残したまま、美しい生地が出来上がります。その可能性は、衣服、カーテン、いす張り地、スカーフ、クッションなど、限りなく広がっています。