今すぐ観る: このビデオではウールがなぜ本質的に循環型繊維であるのかを説明しています。
循環型デザインの手法を取り入れる出発点となります。
ウールで循環経済に適合
再生可能な資源を使う
羊たちは毎年新しく毛を生やすことから、ウールは再生可能な繊維と言えます。 ウールは、日光、空気、牧草と水のシンプルな組み合わせで育まれます。 というのも、ウールは羊が食べ物を通して自然に吸収するたんぱく質、脂質、ミネラルを元にして体に生えるからです。つまり人間の髪の毛が生えるのと同じ仕組みです。
気候、日照時間、土壌の種類、餌の種類などすべての環境的要素もウールの生産に影響を与えます。 ウールのフリースは全ての部分が利用できるため、無駄がありません。
羊の毛は季節毎に刈り取らないと、蓄積し、羊が健康を損なう可能性を秘めています。
素材や製品を長期間使用する
衣服の着用回数は衣服がもたらす全体的な環境負荷に大きく影響します。 衣服の環境負荷を軽減するためには、デザイナーは長い間着用できる衣服をデザインする必要があります。 デザイナーやブランドがそれを実現するために、5つの考慮すべきデザインのポイントがあります:
- 高品質で耐久性のある繊維を選ぶ
- 着用者のニーズに合った衣服をデザインする
- 高品質な染料、仕上げ、仕立て方法を採用する
- 流行に左右されない衣服をデザインする
- 特にフィット感を調節できるなど、着用者のニーズに合わせて変化する服をデザインする。
ウールは高品質な繊維であり、最初のライフサイクルの活用期間は推定20〜30年と一般的に他の衣服より長く保存されています。 再販と再生利用市場で高く評価されており、クローズドループとオープンループのリサイクルシステムのいずれでもリサイクル可能です。
耐臭性、耐しみ性、耐しわ性などのウールの性能により、ウール衣服は少ない洗濯回数で済み、新品のような見た目を維持することができます。
自然体系の再生
生態系は動植物の多様性により進化してきました。 それらの種は相互に作用し合い、生態系の中で均衡を保っています。 動物はもちろんこの生物多様性の一部であり、放牧する動物は草原の生態系を自然に機能させるのに重要な役割を果たします。 ウール生産が草原の生態系を再生させるのに役立つのはそのためです。
放牧する羊は再生農業の生態系にぴったり合った動物です。有機堆肥を作り、炭素隔離を行い、生物多様性をサポートします。 羊はまるで天然の肥料のように機能し、土壌に重要な栄養素を戻します。
ここで再生農業についてもっと知る
羊は農産物に使われていない土地で生活しており、多くのオーストラリアの牧羊業者は水辺保護と植生回復を通じて生物多様性を支えています。
リペアとリサイクル
ウールの特性は高く評価されており、衣服として一人の使用者に長く着用され、寿命を迎えた後にも次の3つの方法で引き続き利用することが可能です:
- 第一のライフサイクル延長 リユース(再利用): ウールはアパレル用の主要繊維のうち、地球上で最も再利用されている繊維です。ウール衣服は特に寄付されたり、転売されてその製品寿命を延長しています。 ニールセンによるクローゼットに関する調査によると、50%のウールおよびウールブレンドの衣服がチャリティー団体、家族、友人に寄付されたり転売されていることがわかりました。
- 第二のライフサイクル延長 「クローズドループ」リサイクル: これは高価なウール衣類を分解し、新しい糸を紡いで新たに高価な衣服の製造を行うことです。 ウールはアパレル用の主要繊維のうち、地球上で最も再生利用されている繊維です。
- 第三のライフサイクル延長 「オープンループ 」リサイクル: これは本質的にウール製品をバラバラにし、断熱材やパッド、インテリアなどでの利用を目的とした不織の廉価版製品へのダウンサイクルをすることです。
多様性の尊重
ウールのサプライチェーンは長く、複雑で多様です。 ウール産業はオーストラリアで約200万人の生活を支えています。 多くは何世代も続く小規模な農家でウールの刈り取りを主な収入源としています。
サプライチェーンを通して、アジアからヨーロッパに至るまでウールは多くの個人とコミュニティの生計を支えると同時に、製織、製編、染織および衣服製造に関する文化的専門性と伝統的知識の継続を支えています。
100%天然、再生可能で土に還る
天然繊維か人工繊維かに関わらず、ウールのメリットのすべてを持ち合わせた繊維は他にありません。
ゴミと汚染を減らす
100枚のセーターを製造する際、ウールのエネルギー消費量はポリエステルよりも18%少なく、水の使用量は綿より70%近く少なく済みます。
世界で最も再利用・リサイクルされている繊維
天然、再生可能で土に還るなウールは、主要な衣料用繊維の中で、最も再利用及びリサイクルされている繊維です。
サステナビリティ
ツールキット
繊維としての特性からウールの社会的影響、動物への影響、環境への影響など、デザイナーやブランド向けのウールに関する重要な情報をご覧ください。
環境負荷を軽減するための
ツールキット
循環型デザインの原理を当てはめたこのツールキットは、ウール製衣類の環境負荷を軽減するための科学に裏付けられた着実な解決策を提供します。
ウールにより循環性を示しているブランド
Victoria Beckham(ヴィクトリア・ベッカム)
Victoria Beckham(ヴィクトリア・ベッカム)
Victoria Beckhamは同ラグジュアリーブランドの最新のニットウェアコレクションにおいて、ウールマークのライセンシーであるTintoria di Quaregnaによる独自の植物由来の染色方法を採用しました。 花や葉、果実などを原料とし、Victoria Beckhamは土を思わせる温かみのある色合いを生み出すのと同時に、サステナビリティを中心に添えたコレクションを展開しました。 衣服には現在の持ち主と未来の持ち主の名前を書けるラベルが付いており、製品の長期にわたる使用を促しています。
Uma Wang(ユマ・ワン)
Uma Wang(ユマ・ワン)
数多くのレーベルがエンド・トゥー・エンドの透明性を確保しており、製品が牧場から衣服になるまで、消費者が追跡できるようにしています。中国を代表するファッション・デザイナーのUMA WANGは2021/2022秋冬用にトレーサブルなオーストラリア産のシングルオリジン(単一牧羊業者による)のメリノウールを使ったカプセルコレクションを発表しました。18点のニットウェアからなる同コレクションにはブロックチェーン技術を使ったトレーサブルなQRコードがタグ付けされており、消費者は製品の信頼性と原産地をトレースすることができます。
NAGNATA(ナグナタ)
NAGNATA(ナグナタ)
ライフスタイル・レーベルNAGNATAはサステナビリティをブランドの軸としており、同ブランドのニットウェア・シリーズはスタジオから街中までシームレスに着用可能です。丸編み機で編まれたNAGNATAのシームレスな衣服は廃棄される生地を削減できるだけでなく、循環経済の重要な柱である環境負荷をも削減します。
使用期間の
延長
ウールの衣服は洗濯が少なく済むためエネルギーと水の消費を削減できるほか、衣服の「新品のよう」な見た目を維持できます。 ウールセーターは洗濯するまでに14回着ることができます。 製品寿命において400回まで着ることで、その衣服の環境負荷を68%削減することができます。
ウールで循環型のデザインを実践する3ステップ
研究によると、消費者には自らが着る衣類によって引き起こされる環境負荷を大幅に削減できるだけの影響力を持っています。 消費者が衣類を着続け、長い期間使用するには衣服が長期にわたる使用に耐える設計でなければなりません。 以下は考慮すべき5つのデザインのポイントです:
- 高品質で耐久性のある繊維、毛糸、生地を選ぶ。
- 着用者のニーズに合った衣服をデザインする。
- 高品質な染料、仕上げ、仕立て方法を採用する。
- 流行に左右されない衣服をデザインする。
- 特にフィット感を調節できるなど、着用者のニーズに合わせて変化する服をデザインする。
衣服のライフサイクルにおける使用段階は衣服の環境フットプリントを決定づける最大の要因です。 衣類の環境負荷を減らすためにデザイナーやブランドが取り入れられる4つのイニシアチブを紹介します。
- ウール衣服の再着用を推進する。 製品寿命において着用回数を増やすことで、その衣服の環境負荷を最大68%削減できます。
- ウール衣服のケアについての方法を伝える。例えば、ウールの洗濯には 30°C以下の水を使うこと、空気乾燥すること、洗濯の回数を減らすこと(ウールセーターを洗濯する最適な頻度は14回の着用に一回)などが挙げられます。
- 消費者に回収方法の選択肢を提供し、ウール衣服に第二、第三の寿命を与える。
- 修繕サービスを提供し、衣服の寿命を延長する。
2030年までに私たちは全体として毎年1億3400万トンの繊維製品を廃棄すると予想されています。 循環経済に対応するためには、衣類は寿命後のことも考えてデザインする必要があります。 これは単に再生利用を意味するわけではなく、衣服の第二、第三の寿命を含みます。 以下は考慮すべき5つののポイントです:
- 天然繊維を選ぶ − 本質的に生分解可能です。
- 天然繊維の利点を広く知らせる。 最善の方法で衣服をお手入れすることで、衣服の「新品のよう」な見た目を維持することができ、再販・再利用マーケットに戻ることができます。
- 分解できる設計にする −これにより衣服を構成する要素の全てが再利用、リサイクルできるようになります。
- ウールのリサイクルの選択肢を模索する − 大規模な商業リサイクル産業により、ウールのリサイクルを通じて価値を生み出すための選択肢が多数存在します。
回収や寄付の選択肢を模索する − ウールは再利用や再販において高く評価されており、衣服の使用を継続し第二・第三の寿命を与えることができます。
ツールキットをダウンロードして、ワークフローに循環型デザインを組み入れる方法を詳しくご覧ください。
本質的に
循環型
ウールが循環型繊維であるとされたのは1813年で、ベンジャミン・ローがリサイクルされた再生ウールの絨毯と新毛を組み合わせて反毛と呼ばれる素材を開発したのが始まりです。
循環づくりを加速するための欧州の法的枠組み
欧州連合(EU)は、2050年までにヨーロッパを世界初のカーボンニュートラル大陸とする目標を掲げています。 その取り組みの中で、循環性に注力した新しい政策や法的枠組みと共に繊維は優先産業に認定されています。
循環経済に向けた行動計画(CEAP)
CEAPとは、「クライメイト・ニュートラル(気候中立)のための必要条件」として、欧州グリーンディールに沿った循環性と資源効率性を実現するための具体的な行動を示す一連の公約です。 欧州のサステナビリティとクライメイト・ニュートラルに向けた動きの中で、このCEAPの下、資源の大量使用と大きな環境負荷を伴う繊維業界は優先産業に認定されています。
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サステナブルな繊維戦略
この戦略は、CEAPの下、繊維製品が循環経済に適合するためのエコ・デザインの要件を今後さらに発展させていくことを目的としています。それは、二次原料の採用、有害薬品への取り組み、企業や消費者がサステナブルな繊維を選択するように後押しし、リユース(再利用)、リペア(修繕)、リサイクル(再生利用)へのアクセスしやすさを確保することなどです。
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サステナブルな製品の
政策イニシアチブ
2021年に提出された持続可能な製品の政策イニシアチブは、気候中立、資源効率、循環経済に適合した製品づくりを目指します。 このイニシアチブはより耐久性を保持し、リユース、リペア、リサイクルを可能にし、エネルギー効率が高い製品を作ることが目的です。
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デザイナーやブランドはウールを用いることで、ウール本来の循環型という特性、製造方法におけるイノベーション、既成のリサイクル産業を通じて、新しい法案や政策に沿ったものづくりが可能となります。